2016年5月22日日曜日

高専生が海外大学院へ出願する際に有利・不利な点 (私見 & 実体験)

ブログのタイトルにせっかく"高専"を入れているので、今回は海外大学院へ出願する際に高専卒(予定)ということがどのように影響するか実体験も交えて書くことにします。
(国内の大学院へ進学しようとしている高専生も一部参考になるかも。)

有利な点
  • "研究経験が一般的な大学生より長い"
     学部生ならせいぜい2年弱、高専本科卒の編入生or専攻科生なら3年弱~約3年半は学士取得までに研究しているはず。卒業論文にしても学士取得までに2回(高専本科、専攻科 or 編入先の学部)は書いているはずなので、レポート・論文の執筆や研究の進め方も理解している学生が多い。中には筆頭著者として何回も学会発表をした人もいるでしょう。
  • "手を動かせる"
     実験や開発など、実践的な経験を高専で多く積んでいるので、"勉強は出来るけど、手は動かせない"ということになりにくい。特に研究思考の大学院では、手を動かせる学生の方がRA: Research Assistant(年間500万円以上貰える)などを任せやすいので、そういった経験をアピールする and/or 推薦状にも書いてもらうことで、研究室の即戦力として評価してもらえる。
  • "専門能力が高い"
     手を動かせるということに加えて、(学士取得まで)15歳から22歳までの7年間も専攻分野の専門教育を受けている、ということも評価されるでしょう。国内では、文系科目の教育がテキトーだとか言われたりすることもありますが、海外大学院はそんなことに興味はありません。ただし、英語は自分でもちゃんと勉強しよう。

不利な点
  • "研究経験が一般的な大学生より長い"
     「さっき有利な点って言ったじゃん!」←ごもっとも
     しかし、研究経験は長いのに(対外的な)業績がないと「ほんとに研究してたの?」と思われることも。卒業論文のテーマが実は先生の過去の実験の追試験だったり、自分は知らなかったけど学外で発表できないレベルのものだった、ということはよくある話。こういうことを防ぐためにも、「学会発表(出来れば国際会議)してみたいです。」と指導教員に早めに宣言するといいでしょう。
  • "(国内では)英語が出来ないイメージが強い"
      国内で海外留学の奨学金に応募する際、高専のことを良く知る審査員には懸念されることもあるので、テストスコアはしっかり取る & 出来れば英語での学会発表や英語スピーチ・プレゼンテーションコンテストを経験しておこう。
  • "高専という教育システムの説明が必要"
     国内でも度々「高専って何?」と聞かれるので、海外でも説明を求められるのは至極当然。また高専に「英語で成績証明書作ってください」とだけ言うと、本科1年生から5年分、専攻科生の場合は7年分の成績が出されるので、「高専4年生~専攻科2年生が大学学部に相当」などの説明を追記してもらいましょう。もしくは余計な誤解を招かないように、本科4年生以上の成績だけで作ってもらい、さっきの説明文を加えてもらうことをオススメします。

自分が実際に受けた国内外からの評価やコメントに加えて、高専生についてよく言われる代表的なことを簡単にまとめてみました。今後「私、高専卒です。」と書類や面接で売り出そうか考えている人は参考にしてみてください。

2016年5月16日月曜日

日本人が海外大学・大学院に出願する際の第一の壁: TOEFL or IELTS

学位留学準備に際して、最初に思うのは「TOEFL(IELTS)めんどくせ〜」でしょう。
(そう感じなかった人はこの投稿を読む必要はないでしょう)

出願時に求められる試験のスコアレポートとして、一般にTOEFL or IELTS、アメリカ大学院へ出願する場合はGREがあります。GREは留学生だけでなく英語ネイティブも受験しないといけないので、今回はTOEFLとIETLSに話を絞ろうと思います。

TOEFLは主にアメリカへ留学する人がテストセンターのコンピュータで受験し、IELTSは主にイギリスやニュージーランド、オーストラリアへ留学する人がテストセンターで持参の鉛筆を使って受験します。ただし、近年ではアメリカでも非常に多くの大学・大学院がTOEFLだけでなくIELTSを受け入れています。

今回は実体験も踏まえて両者を比較するので、これから受験を検討している方は参考にしてみてください。

共通点
  • L(Listening), R(Reading), S(Speaking), W(Writing)の4セクション
  • 受験料が高い(どちらも2万円以上)
  • でも日本から学位留学する人は受験必須

TOEFLのメリット
  • 日本語で書かれている参考書が多い
  • 受験者も多いのでノウハウが共有されやすい
  • 試験会場が多い
  • 試験日直前でも空きがあれば受験申込ができる
  • 受験者のペースで試験の開始・進行ができる(当日の受付順で開始)
  • Wセクションでコピー・ペーストが使えるので編集しやすい

TOEFLのデメリット
  • 受験料の支払いが米ドルなので、円安・円高に影響される
  • 幅広い学術分野(例: 植物学、海洋学)の基礎専門用語が求められる
  • Rセクション以外の全セクションでリスニング能力が求められる
  • Sセクションはコンピュータに話しかけ、時間が来ると強制終了
  • 試験の進行が受験者ごとに異なるので、他の人がSセクションに入るとヘッドホン越しでもノイズが気になる
  • スコアに反映されないダミー問題が含まれていて、無駄に疲れる
    (ダミー問題は使い回しなので、何回か受験すれば気づくようになれる)
  • RL-SW間の休憩時間が10分しかなく、昼食も落ち着いて食べれない


IELTSのメリット
  • 日本では日本英検協会が受験を取り仕切っているので、受験料が外貨に影響されない
  • TOEFLほど幅広い分野の専門用語は覚えなくてもいい
  • ペーパー形式のため、問題用紙に書き込みができる
  • リスニング能力が求められるのはL, Sセクションのみ
  • Lセクションは書き取り形式なので、TOEFLほど内容の記憶は求められない
  • SセクションはFace to Faceの対人面接形式なので、ボディランゲージや聞き直しができてTOEFLより柔軟な対応をしてもらえるので、リラックスして試験に挑める
  • Sセクションが別日に設けられる場合もあるが、同日に行われる場合でも最低1時間弱は休憩できる
  • 試験の進行はSセクションを除いて、L, R, Wが全受験者同時に進行する
  • TOEFLのようなダミー問題は含まれていないので、試験時間も短い

IELTSのデメリット
  • 増えてきつつあるが、TOEFLに比べて日本語の参考書が少ない
  • 試験会場が少なめ
  • 基本的に5週間ほど前までに受験申込しなければならない
  • 受験申込の度にパスポートのコピーを郵送しなければならない
  • Rセクションの文章量がTOEFLより多め
  • Wセクションで文章を書き直したり、文章の途中に書き加えるに時間がかかる
  • Sセクションが別日に設けられる場合もあるので、1日で終えたい人はしんどいかも

結論として、これからTOEFL or IELTSを受験しようとしている人は、最初にまず1回ずつ両者を受験することを強くオススメします。
自分もTOEFLの勉強・受験を2年間続けましたが、自分には合わず(特にSセクション)、TOEFL iBTで70点程度が最高点でした。しかし、IELTSに切り替えて試験形式の把握して受けただけでもOverall Band Score(各セクションの平均を丸めたもの)で6.5 / 9.0をギリギリ取得できました。

アメリカの大学院の場合は、大学や専攻にも寄りますが最低でもTOELF iBTで80点、IELTSでOverall Band Score 6.5は入学要件として求められます。(トップスクールではTOEFL iBTで100点、IELTSのOverall Band Scoreで7.0が最低ラインの場合が多いですが。)出願予定の学校がどちらのテストスコアも受け入れている場合は、初期段階で両者を受験し自分に合ったテストを見つけることを自分や学位留学する友人の経験からも、強くオススメします。

今回はもう長くなってしまったので、役に立ちそうな教材などはまた後日投稿しようと思います。

2016年5月10日火曜日

README

はじめまして、私は高専本科・専攻科を経て地方の大学院(修士課程)へ進学し、今夏よりアメリカの某パブリック・アイビーのPhD課程(財政援助付き)でコンピュータサイエンスを専攻する情報系の者です。

このブログは、これから学位留学を考えている方々への情報共有や自身の活動の記録を主な目的として開設しましたが、近年では様々な機関や書籍・HPのおかげで学位留学に関する情報は比較的得やすくなっています。(少なくとも私が学位留学を志し始めた時と比べて)

こういった万人に役立ちそうな情報源はもちろん紹介していこうと思っていますが、私自身、海外大学院出願準備にあたり、アメリカの大学院のPhDプログラムに合格した日本人の体験談(いわゆる王道)とは異なる、マイノリティだなぁ(こういうケースの情報あまりなかったなぁ)と感じる場面が多々ありました。
そこでこのブログでは自分の経験をもとに、以下のいずれかに当てはまる学位留学希望者を特に意識して情報を共有していくつもりです。

  • 高専(専攻科も含む)出身の方
  • 現在地方の大学・大学院に在籍している方
    (いわゆる旧帝大や東工大・慶応・早稲田以外の大学・大学院)
  • 国内で奨学金を確保出来なかった方
  • 出願校の先生とのコネクションを確保出来なかった方
  • 学位留学に精通している先生が周りに少ない方
  • GPAはそこそこ良いけど、学内では優秀組ではないと自覚している方
  • 情報系を専攻している(または専攻予定)の方
  • TOEFL iBT or IELTS、GREの勉強方法やスコアに不安がある方

出来る限りここでの初心を忘れずに記事を書くよう意識していきますが、要望が出てくればそれに沿った情報も共有していこうと思っています。
不定期更新ですが、よろしくお願いします。

P.S.
本名だと色々とざっくばらんに共有できない情報もあると思うので、気が変わるまでは個人情報は伏せていく予定です。
あと次からは文章が固くなり過ぎないよう善処します。