2017年1月3日火曜日

PhDプログラム序盤の感想 〜1年目の秋学期を終えて〜

みなさん、あけましておめでとうございます。

本当は渡米直後から色々な気付きがあってずっと更新しようと思っていたのですが、想像の何倍も忙しくバタバタしていたのでそんな気にもなれず、気がつけば秋学期を終えて信念を迎えていました。

Twitterで触れたものもありますが最初の秋学期を要約すると
  1. ラボ異動活動を始めた
  2. 聞いてはいたけど授業で超忙しい
  3. PhDとMasterとで価値観や能力の違いが少し垣間見えた
  4. 学部生はまだまだ子供っぽい?
  5. 意外と給料と給付金から税金が引かれている

という感じでした。あまり長文にしたくないのでそれぞれ簡単に書きます。


1. ラボ異動活動を始めた
入学前から少し懸念事項の一つに最初に割り振られた指導教員の研究分野が自分のそれと離れていたことがありました。この先生は出願時のSoPでは触れていなかったのですが出願後にメールで連絡をもらい、「〜分野にも興味があるか?」と聞かれたので「分野は違いますが、自分の・・・分野での経験が活かせるプロジェクトであれば表面上の分野の違いは気になりません。」と返信し、その後Skype面接を経て合格通知をもらいました。

その業界では有名で研究資金も豊富、学生からの支持もあって、人としても尊敬でき、指導方針や研究室の運営方針もとても自分に合っていたとても良い先生だったので、まずはこれから始まる研究プロジェクトをよく知って興味を持つよう努力してみました。

プロジェクトは業界に与える影響も大きそうな興味深いものでしたが、やはり少なくとも5年間共に過ごしたいと思えるほど「自分はこのために色んな可能性を日本で捨ててアメリカに来たんだ」と自分に言い聞かせることは出来ず、ミーティングの際に正直に打ち明けたところ「PhDでは自分が本当にアツくなれることに取り組むべきだ。正直に話に来てくれてありがとう。」と涙目ながら背中を押してくれてこっちも泣きそうになりました。
その後これまでの感謝の気持ちとプロジェクトのスケジュールやPhD学生を雇う計画も崩してしまってとても申し訳ないという謝罪を込めてメールを送りましたが別の激励メッセージをもらい、本当に感謝しても感謝しきれない気持ちでいっぱいです。

現在はその指導教官の許可もあって、ラボ異動活動をしているわけですがこれについてはまた機会があれば書きます。


2. 聞いてはいたけど授業で超忙しい
秋は主となる授業(4単位)を2つ履修し、あとは毎週外部から講師を呼ぶCS系の研究セミナーと必修のTAセミナーを履修しました。後者2つはセミナーなのでそんなに忙しくもなかったのですが、前者2つは本当に忙しかったです。ほぼ毎週難しめの課題が出されたり、課題のグループプロジェクト(複数)がかなりの時間を要したり、中間&期末試験の範囲が異常に広かったり、と最初の学期で慣れてないせいかもしれませんが冗談抜きで毎週休日が休日でない気分でした。(特に後半)

たかだか2〜4科目と思うかもしれませんが、プロジェクト系の課題を除けば締め切りはその翌週で、セミナー以外は週2回授業があり授業のスピードも凄く早いです。更に院生はB未満(B-も含む)の成績を取ってはいけないので、メインの授業を3つ以上履修するのは個人的に無理な気がしています。
(3つ以上取ると研究する時間もなくなります。)


3. PhDとMasterとで価値観や能力の違いが少し垣間見えた
授業や学内イベントなどを通してCS系の院生と知り合いましたが、平均的にみるとPhDとMasterとでは学生の価値観や能力に少し違いが見えました。自分の学科ではMasterの学生は修士論文を書かなくてもいい(Optional)代わりに、単位数や分野などに関する条件 + 学科から指定された授業リストの中から一定数以上の授業を履修しその授業の理解度試験に通らないといけないので、就職意識が強いMasterの学生は分野は二の次でとにかく難しめの授業は避けているようでした。こういったMasterの学生の傾向は日本の研究意欲のない修士課程の学生のそれと似ている気がしました。(あくまで平均的に見た場合)

その代わりこちらのMasterの学生はCSだとテクニカルインタビューの準備に必死で、時間を見つけてはコーディングインタビューの練習や過去問を解いたり、友達と集まって問題を解いたりしていました。(日本ではGoogleやMSなどを目指す一部の学生ぐらいだったと思います。)

ただやはり平均的にみるとPhD学生の方が専門能力(プログラミング)や英語力は高い印象があります。顕著だったのは英語のライティングで、プロジェクトのレポートを共同で書いたりするとMasterの学生の方が慣れていないようです。自分もそんなに英語達者ではないですが、それでも構成やアカデミックな書き方、語彙、文法に違和感を覚える程度に違いはありました。中にはWiki引用がダメだということを知らないMasterの学生(1年目)もいたぐらいです。


4. 学部生はまだまだ子供っぽい?
自分の学科ではPhDの最初の2年間は学科から全学費(授業料 + 保険など) + 生活費(給付金) + 給料を貰うケースが多いのですが、給料に関しては秋学期は採点業務をして毎月をもらっていました。300人以上の学部生(3回生以上?)のプログラミング授業が担当になり、課題や試験の採点をしたんですが、誰が採点しても毎回頻繁に問い合わせのメールを学生からもらっていました。

学部生もGPAにはかなり敏感なので神経を尖らせる理由もわかります。「なんで〜で減点されているんですか?」「次回以降同じ間違いをしないようにどうすればよかったのか教えてほしい」といったメールを送ってくる学生への対応は楽しいしやりがいもありますが、「(授業で触れた内容について)なんで〜で減点されるんだ、こんなのあってはならない」「自分のコンピュータ上では動いてるぞ、採点間違ってるだろ」「確かに〜は忘れててやってないけど、この減点は見逃してほしい」といったメールの対応は心底疲れました。もちろん採点ミスがなかったわけではないですが、学期を通して片手で足りるほどの人数分しかミスしていないので結果的に9割以上の再採点リクエストは無効でその学生の減点理由の明確にして返信するという作業でした。

プログラミングの課題なので、自分が提出したファイルをダウンロードしなおしてチェックしたり、課題のページにある要件を見直せば半分以上は自己解決出来るはずのものなんですが、「自分たちが正しい、お前たちが間違っている」といった決め付けでメールを送ってくる学生に限って理由をメールで説明したらその後音沙汰がなくなるというパターンが非常に多くて気分が悪かったです。(↑日本で日本語で先生に同じ口調のメールを送っている図を想像してみてください)

採点業務だけでなくクラブ活動を通してみてもまだまだ子供だなと思う学部生は多少いるわけですが、少なくとも日本の学部生相当の年代はまだ大人びていた気がします。(ニュースなどを見るとたまに怪しくなりますが)


5. 意外と給料と給付金から税金が引かれている
夏休みはRAやインターンシップで稼ぐことになっているので、学期中は給料と給付金は毎月払われます。給付金とTA系の給料を足すと日本円で20万円以上になるんですが、そこから税金が引かれるのは結構痛いです。給料から税金が引かれるのはまだわかりますが、給付金まで対象にしなくても...

とは言いつつも日本からほとんどお金は持ってこなかったんですが、頻繁に外食や遊びに行ったりもしないので毎月4,5万円ほど貯金できているぐらいには余裕を持って生活出来ています。


短くしようしても結局愚痴なども入って長くなりましたが、秋学期のことを摘んで書いてこの量だったので、もう少し小刻みに更新してコンパクトにまとめたいですね...
過去にも出願準備については書きましたが、これについてはこっちで得た生の声も踏まえてまた改めて書こうかなと思ってます。
(もし要望などがあればコメントかTwitterで言及してもらえれば加えようと思います。)